交通事故、ことに自動車による人身事故は年々増加しており、今やわが国の深刻な社会問題となりつつあります。よって、いつ何時、誰の身に起こるかわかりません。もしあなたが事故に遭ってしまったとき、どのような対処法を行えば良いのか、どうすれば賠償金や慰謝料を泣き寝入りせずにすむかなど、正しい対応策を紹介していきます。 関連サイト→交通事故慰謝料

被害者の心得

自動車による交通事故に遭ってしまった場合、被害者として心得ておかなければならないことが四つほどあります。まず一つ目として、直ちに警察に届け出ることです。もちろん、一一〇番に電話しても構いません。たとえ被害がどんなに軽微なような場合でも、必ず警察に届け出て事故現場を確認してもらい、事故証明書をもらっておくことが大切です。

そのときは何でもなかったのに、後になって後遺症が出てきても、警察がその事故にタッチしていない限り、事故証明書をもらうこともできずに、泣き寝入りになるケースも多いのです。もしもひき逃げの場合は、事故証明書にひき逃げ事故として明記してもらいましょう。

仮に犯人が見つからないときでも、国家による救済制度があります。二つ目に、加害者を確認しておきましょう。加害者が分からなければ、損害賠償を請求しようにも相手がいないのです。もちろん即死や意識不明のときは致し方ありません。

そうでない場合には、加害者の免許証や車体検査証、自賠責保険加入証明書などを見せてもらって、加害者の住所や氏名のほか、車のナンバーや車種、勤務先などを確認し、メモしておくことを忘れないようにしましょう。三つ目は、現場の状況を確認保存することです。

警察官が来るまでは、できるだけ現場をそのままにしておき、付近に現場を目撃した人がいれば、その目撃者の住所や氏名を詳しく聞いておきましょう。スマホのカメラ機能で、現場を克明に写真に収めておくことも大切です。

交通事故は示談で解決するとは限らず、裁判になることも多いものです。したがって、裁判で争うためには、できるだけ多くの事故現場の証拠を揃えておいたほうが有利です。四つ目に、交通事故で負傷したら、それがほんのかすり傷程度でも、ただちに医師の診断を受け、診断書をもらっておきましょう。

特に頭部を打ったような場合には、できるだけ精密な検査を受けることが肝心です。これらに要した費用は、たとえどのような少額の支出でも、必ず領収証をとっておくことを忘れてはいけません。裁判になると、領収証などの証拠がものをいうので、有利になります。

入院費や治療費

入院費や治療費は、損害金として加害者が支払うべき性質のものですが、万が一加害者が支払わない場合、病院に迷惑を掛けることになります。病院に対しては、被害者が支払っておいて、あとから加害者に請求するよりほかありません。

このような場合、即座に加害自動車の加入している保険会社に対して、強制保険の被害者の請求の手続きをとり、仮渡金の請求をしましょう。保険会社の用紙に必要事項を明記し、警察の事故証明書や医師の診断書、病院の領収書、そして印鑑証明書を添えて提出すれば、一両日中に仮渡金の支払いを受けることができます。

損害賠償を請求する相手

交通事故によって被害を受けた場合、被害者は誰と誰を相手にその賠償の請求ができるのでしょうか。まずは加害者本人です。加害者本人が賠償責任を負うのは当たり前です。つまり、運転者自身のことです。また、従業員が仕事中に事故を起こして、他人に損害を与えた場合には、事業主もまたその賠償責任を負うことになります。

この事業主責任は、次第に広く解釈されてゆく傾向になっています。その運転者が会社の仕事中でなく、勝手に自動車を運転している場合であっても、事業主に責任を負わせている事例も多くあります。さらに、旅行先でレンタカーを運転中に事故を起こした場合は、車を貸したレンタル会社も責任を負うことになります。

自動車の保有者はレンタル会社なので、事故について損害の賠償を免れることはできません。

賠償金や慰謝料の請求の仕方

交通事故を起こした運転者や、その事業主などの加害者側では、誠意をもって話し合いに応じ、自ら進んで被害の弁償をするのが当然なのですが、残念ながら逆の場合も多いと言われています。もっとも、現在では自動車を所有すると自賠責保険にほぼ加入するので、被害者は加害者の加入保険会社に対して、直接保険金の支払いを請求することができます。

しかし、被害者にとっては、自賠責保険の保険金だけでは満足できない場合も多く、その不足分を慰謝料として、直接加害者側に請求することになります。その請求方法としては、示談という形式をとったり、簡易裁判所の調停の申し立てをしたりして、調停委員を交えての話し合いで決めます。

それでも、どうしても妥協できないときは訴訟を起こし、裁判によって損害賠償の金額を決めてもらいます。

示談の仕方と注意

慰謝料を請求する際、世間一般には裁判に持ちだすのを嫌って、できる限り示談で片づけようとする傾向が強いものです。悔いなく示談を成立させるためには、それ相応にわきまえておかなければならない事項があります。まずは、示談のタイミングです。

示談ができるかどうかは、タイミングにかかっています。例えば、事故の直後に加害者が申し訳ない気持ちでいるときや、警察が処分を決める直前で加害者としては警察に示談書を提出しておきたいとき、などのチャンスをつかむと、有利に示談を成立させることができるでしょう。

次に、示談交渉の相手方についてです。示談の相手が本人でなく代理人の場合には、その示談に対する代理人の権限をよく確認することが大切です。相手が会社のような法人の場合は、その会社を代表する代表者名で示談書を交わすことになります。

また、相手方が代理人に、俗にいう示談屋と称する交通事故ブローカーを立てる場合もあります。このような者の中には、法律に疎い被害者を言葉巧みに丸め込んで獲物にしようと狙っている者がいるので、注意が必要です。

下手に押し問答を続けているよりは、いっそのこと弁護士に頼んで、正式に請求した方が早く解決する場合が多いようです。交通事故などの損害賠償請求事件では、弁護士の費用も事故による損害として認められるので、損害賠償額の中に合算して請求することができます。